―――自分の居場所など、どこの町にもなかった。
まっ暗闇の中で、ペチカは涙と鼻水をズルズルと流した。
この闇の中に消えてしまえたら、どれだけ楽だろう。なんで自分なんかが生まれてきたのか、ペチカにはわからなかった。
わからないことだらけの中で、ただ涙を流し続けることしかできなかった。
第二章「ランゼスの一日」より。
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ランゼスの町で、オムレツ屋さんに騙されて警官に暴行を受けた後、必死に逃げたペチカが、
図書館の中で涙を流すシーンです。
あまりにも、あまりにもやるせなくて辛かったです…。
「この闇の中に消えてしまえたら、どれだけ楽だろう」
たった13歳の女の子の言って良い言葉ではないです…(涙)
本当に、この場面は辛かったです…><
お母さんが死んでしまってからというものの、誰からも優しくも、大切にもされなかったペチカ。
誰もがペチカを騙したり、脅したり、傷つける存在でしかなかったのです。
ペチカが自分のことを大切に思えなくなってしまっても無理はないです。
トリニティーの中でも、トリニティーを出てからも、それは変わりなくて…。
そんな、あまりにも辛い思いをしてきたペチカだからこそ、フィツとの出会いが、大切でなりません。
おばあちゃんとの出会いが幸せでなりません。
後半での出会いが嬉しくてなりません。
ペチカと一緒に、辛い旅をしてきて本当に良かった…!!
余談ですが、私が「童話物語」の中で一番嫌いな人物は、オムレツ屋のおじさんだったりします(笑)
なんだか、「悪い」人よりも「ずるい」人を嫌いになる傾向があるなあ…。
2005.9.23