地下室へひきずられていくペチカは、歩くのを拒否して守頭に抵抗したが、守頭は体重の軽い
ペチカなどものともせず、カバンでも持っているかのようにやすやすとペチカをひきずっていく。
抵抗するのがむだだと分かったペチカは、仕方なく守頭に必死に許しを乞おうとした。
「お願いです守頭様!家はいいです!写真だけは燃やさないでください!
たった一枚のお母さんの写真なんです!」
                                                 第一章 「釣り鐘の下で」より

  

ペチカの涙の場面が続いてしまいました…。
トリニティーの教会にて、フィツの存在が知れてしまい、
守頭に問い詰められた挙句、フィツがいるとされるペチカの小屋を燃やされてしまう場面。

全てを失った女の子の、たった一つの拠りどころ。
お母さんの写真。
それすらも奪われかねない恐怖の中で、必死に守頭に抵抗するペチカ。

…本当に、童話物語の最初のころの場面は辛くて辛くて仕方がないのです。
これでもかこれでもかと降りかかる災難、
ペチカにとって他人とは、奪ったり騙したり、暴力を加える存在でしかなかったのでしょうね。

こんな辛い境遇にあったペチカが、本当の優しさを忘れないでいられたのは
もちろんフィツや、このあとに出会うおばあちゃんやオルレア、ハーティーたちのおかげでもあるけれど、
やっぱり一番はお母さんのおかげなのでしょうね…。
本当に、ペチカにとって大切な大切なお母さんの写真。

後半で、それすらも乗り越えていけたのは、きっとペチカが世界中でたった一人の、
孤独な女の子ではなくなったからなのでしょうね。





絵は、最初はランゼスのオムレツ屋さんに懇願する場面のつもりだったのですが、
表情がかなり必死の形相になったので、むしろお母さんの写真の場面では…!と、こちらの場面にしたのでした。











2005.10.30